駐車中に、一晩中チカチカと点滅し続ける、イモビライザーの鍵マーク。その光を見ていると、「こんなに点滅し続けて、車のバッテリーが上がってしまわないだろうか」という、素朴な疑問と不安が湧いてくるかもしれません。特に、数日から数週間といった、長期間にわたって車に乗らない場合には、その心配はさらに大きくなるでしょう。しかし、結論から言えば、この鍵マークの点滅によるバッテリーの消費量は、全く心配する必要のないレベルです。イモビライザーの表示灯に使われているのは、消費電力が極めて小さい「LED(発光ダイオード)」です。LEDは、従来の電球とは比較にならないほど、エネルギー効率が高いのが特徴です。その消費電力は、時計やカーナビのメモリを保持するために使われる待機電力(暗電流)と比べても、ごくわずかなものです。具体的に言えば、たとえ一ヶ月間、鍵マークが点滅し続けたとしても、それが直接的な原因でバッテリーが上がることは、まず考えられません。もし、長期間駐車した後にバッテリーが上がってしまったとしたら、その原因は、鍵マークの点滅ではなく、バッテリー自体の寿命や劣化、あるいは、室内灯の消し忘れや、他の電装品の待機電力といった、別の要因にあると考えるのが妥当です。むしろ、この鍵マークの点滅は、バッテリーが正常に機能し、セキュリティシステムがきちんと作動していることの証でもあります。この光が消えてしまった時こそ、バッテリーの異常を疑うべきサインと言えるかもしれません。ですから、愛車のメーターパネルで、鍵マークが健気に点滅しているのを見ても、どうか心配しないでください。それは、あなたの車のバッテリーに、ほとんど負担をかけることなく、泥棒からあなたの財産を守るという、非常に重要な仕事を、健気に、そして効率的に果たしてくれている、頼もしい光なのです。