浴室ドアの交換費用を少しでも抑えたい、という思いから、「自分でDIYで交換できないだろうか」と考える方もいるでしょう。結論から言えば、交換するドアの種類や、あなたのDIYスキルによっては、自分で行うことも不可能ではありません。しかし、浴室という、水と密接に関わる場所の工事であるため、開き戸や折れ戸の「ドア本体のみの交換」に限定して考えるのが、現実的かつ安全な範囲と言えるでしょう。まず、DIYで交換する場合のメリットは、何と言っても「コストの削減」です。業者に依頼した場合にかかる、数万円の工事費を、まるまる節約することができます。必要なのは、新しいドアの部品代と、基本的な工具(ドライバー、コーキングガン、メジャーなど)だけです。一方、デメリットとリスクも、十分に理解しておく必要があります。最大の難関は、既存のドアと全く同じサイズ、同じ仕様の交換用ドアを、正確に見つけ出すことです。メーカーや型番、蝶番の位置、ドアの厚みなどを、ミリ単位で正確に測定し、適合する製品を探し出さなければなりません。この最初のステップを間違えると、購入したドアが無駄になってしまいます。また、浴室ドアの取り付けには、「防水処理」という、極めて重要な工程が伴います。ドア枠と壁の隙間を、シリコンコーキング材で、隙間なく、かつ綺麗に充填する必要があります。この防水処理が不完全だと、壁の内部に水が浸入し、柱の腐食やカビの発生といった、より深刻で高額な修繕が必要となる、重大な欠陥に繋がってしまいます。さらに、ドアの取り付けには、水平・垂直を正確に出すための、建付け調整の技術も必要です。少しでも傾いていれば、ドアがスムーズに開閉しなかったり、隙間風が入ってきたりする原因となります。これらのリスクを総合的に考えると、特にDIYの経験が少ない方にとっては、専門の業者に依頼するのが、結果的に最も安全で、確実な選択と言えるでしょう。プロに支払う工事費は、単なる作業の対価ではなく、こうした専門的な知識と技術、そして長期的な安心を手に入れるための、賢明な投資なのです。
浴室ドア交換は自分でできる?