住宅の窓に一般的に取り付けられているサッシの鍵は、正確にはクレセント錠と呼ばれます。三日月のような形をしていることからその名がつきましたが、この部品は単に窓を閉めるためのものではなく、左右のサッシを引き寄せて密閉性を高め、防音や断熱の効果を維持するという重要な役割も担っています。長年使用していると、レバーがガタついたり、カチッという手応えがなくなったりすることがありますが、これは部品の摩耗やバネの劣化が原因です。そのまま放置すると、窓が完全に閉まらなくなって隙間風が入るだけでなく、外部からの侵入が容易になるなど防犯上のリスクも高まります。そのため、不具合を感じたら早めにサッシの鍵を交換することが推奨されます。自分で交換作業を行う際に最も重要なのは、現在取り付けられている鍵の寸法を正確に把握することです。サッシの鍵はすべてが同じ規格で作られているわけではなく、メーカーや製造年代によって形状やサイズが千差万別です。確認すべきポイントは主に三つあります。一つ目はビスピッチと呼ばれる、鍵を固定している上下のネジの中心間の距離です。二つ目は引き寄せ寸法で、これはネジの中心からクレセントの先端までの距離を指します。そして三つ目はバックセットで、サッシの縁からネジの中心までの距離です。これらの数値が数ミリでも異なると、新しい鍵が取り付けられなかったり、受け側の金具と噛み合わなかったりするため、定規やメジャーを使って慎重に計測する必要があります。適合する製品を見つけるためには、まずサッシ自体に貼られているメーカーのシールを確認するのが近道です。トステムやリクシル、YKKAPなどのメーカー名と型番がわかれば、純正品を取り寄せることができます。もし型番が不明な場合や、古い製品で廃盤になっている場合は、万能型と呼ばれる交換用クレセントを検討することになります。万能型はビスピッチが可動式になっており、幅広いサイズに対応できるよう設計されています。ただし、万能型であってもすべてのサッシに適合するわけではないため、やはり事前の計測は欠かせません。最近ではホームセンターの店頭だけでなく、インターネット通販でも詳細な図面が公開されているため、自宅の鍵と比較しながら選ぶことができます。実際の交換手順において、最大の注意点となるのが裏板の脱落です。サッシの内部には、ネジを固定するための裏板という金属プレートが入っています。上下のネジを同時に外してしまうと、この裏板がサッシの枠の中に落ちてしまい、二度とネジを締められなくなるという大事故につながります。これを防ぐためには、まず上のネジだけを外し、鍵を少しずらしてから仮のネジや細いドライバーで裏板を固定しておくといった工夫が必要です。クレセント錠を閉めたときに、サッシがしっかりと引き寄せられ、ガタつきがないかを確認します。もし鍵が硬すぎたり、逆にゆるすぎたりする場合は、受け側の金具のネジを緩めて位置を微調整します。スムーズに施錠でき、かつ窓が密着する状態になれば完成です。
サッシの鍵を自分で交換するための基礎知識と手順