鍵屋として長年現場に立っていると、鍵を無くしたらどうすればいいのかという切実な相談を毎日何件も受けます。最近の傾向として特に多いのが、防犯性の高いディンプルキーや、自動車のようなスマートキー、電子錠などの特殊な鍵を紛失したというケースです。これらの鍵は、一昔前のギザギザした鍵とは構造が全く異なり、解錠や作成には高度な技術と専用の機材が必要になります。そのため、依頼する側も鍵の種類に応じた適切な知識を持っていないと、思わぬ時間と費用を費やすことになりかねません。 まず、ディンプルキーを無くした場合ですが、これは非常に頑丈でピッキングが困難な設計になっています。そのため、鍵穴から直接開けることができず、ドアの隙間からサムターン回しという手法を用いたり、場合によっては鍵穴をドリルで破壊して開ける破壊解錠を選択せざるを得ないことがあります。鍵屋を呼ぶ際は、あらかじめ自分の家の鍵がどのような形状をしていたかを正確に伝えてください。ディンプルキーであれば、その旨を伝えることで、業者も必要な機材を揃えて現場に急行できます。また、鍵を壊して開けた場合は新しいシリンダーへの交換が必須となりますが、その在庫が業者の車にあるかどうかも事前に確認しておくべきポイントです。 次に、オートロック付きのマンションで共有部分の鍵を無くした場合の注意点です。多くの場合、自分の部屋の鍵でエントランスのオートロックも開けられるようになっています。このようなシステムで鍵を交換する場合、新しい鍵を共有部分のシステムと連動させるために特別な発注が必要になり、納期に数週間かかることがあります。それまでの間は、部屋の鍵とエントランスの鍵の二本持ちになるか、あるいは管理組合の許可を得て高額なシステム変更を行う必要が出てくるかもしれません。鍵を無くした際の連絡先として、まずは管理会社が最優先されるのは、こうした複雑なシステム管理が背景にあるからです。 最後に、現場でよく見かける残念なケースとして、お客様が自力で何とかしようとして鍵穴を傷めてしまう例が挙げられます。ヘアピンやピンセットを差し込んでこね回すと、中の精密なピンが折れたり、異物が詰まって取れなくなったりします。こうなると、本来であれば壊さずに済んだはずの鍵も、破壊するしか方法がなくなります。鍵を無くしたら、無理をせずにプロに任せるのが、結果として最も安く、早く解決する道です。私たちはトラブルを解決するだけでなく、その後の防犯アドバイスも行っています。困ったときは、迷わず地域で実績のある信頼できる業者に相談してください。